title :   秘密の宴
Hなレイさんは好きですか?
(まぁキライというような方は此処に来てない気もしますが)



 

 

その日は何だか、やけにレイが可愛く見えた。

 

 

 

 

 

『ううん、あんっ、はぁ……』

レイがシャワーを浴びている間、カイはホテルに備え付けの有線放送で流れていた成人指定番組を眺めていた。

特にこういう番組が見たかったという訳では無く、たまたまテレビを点けたところ流れてきたものである。おそらく前の宿泊者の設定がそのまま残っていただけであろうが、今更チャンネルを変えるのも面倒なのでそのまま見続けていた。

『あんっ、もう、いっちゃぅうっ!』

画面の中では黒髪の女性が、長い髪を乱れさせ後ろからの突き上げに喘いでいる。一度顔のアップになり半開きの唇が露わになると、再び結合部へと切り替わった。

「……くだらんな」

単調なシーンの連続の上、お粗末な構成とHしかないシナリオ展開に、いくら時間を持て余していたとはいえこれはあまりにも時間の浪費である。

唯一の利点といえば、女優の髪の色という事だけ。レイと同じ長い黒髪。

『んぁっ……ハァ……んっ……』

画面の中ではクライマックスを迎え、精液まみれになった女優が男優のモノを「クリーニング」し始めていた。

「カイ、風呂空いたぞー……ん?……なっ、なっっ、何見てるんだッ!?」

「ああ、今行く。……興味あるのか?」

焦るレイとは対照的に、カイは至って自然に受け答える。

初めて見る映像にレイの身体が固まり、髪を乾かすのも忘れあんぐりと口を開けている。風呂から出たばかりで、上気した桃色の肌がにわかに紅く色づいてゆく。

映像の中ではクリーニングが終わった後、第二ラウンドが始まったのか、こんどは女優が下から幾度となく突き上げられている。

硬直しながらもテレビから目が離せなくなってしまっているレイを見て、カイの口元が緩んだ。

「どうした?レイ………シてほしいのか?」

「……オッ、オレ、先に寝るからっ!おやすみっ!!」

「おっと」

バタバタと足音をたてて寝室に籠もろうとするレイを、先回りして入り口の所で抱きかかえた。

掴んだレイの身体から石鹸の香りがたち、カイの鼻腔を擽る。

バスローブの隙間から手を差し込むと、レイの肉塊は既にほんのりと熱を持ちはじめ、先端を擦ると滑らかな液体が指先に纏わり付いた。

「もう準備ができているようだな」

「ちがっ……これはっ……」

まさか画面に出ていた髪の長い女優が、自分の姿と重なって見えた…とも言えずにレイは口籠もる。

「んッ……」

カイはレイを抱き寄せ、唇を求めた。僅かに抗いを見せたものの、それだけだった。ほどなくレイも素直になり、二人はねっとりと舌を絡め合わせる。

唇を重ねたまま、カイは後ろ手で器用にドアを開け、寝室のベッドへとレイを押し倒した。小さな悲鳴をあげたが、レイが抵抗することはなかった。

レイの脚を大きく拡げさせると、バスローブを脱がすまでもなく、完全に勃起した肉棒が隙間からピンク色の頭を覗かせていた。

カイはバスローブの紐を解くと、脇腹から下腹部へと舌を這わせてゆく。身体を這い回る感覚を堪えようとするが、レイには体の芯が妖しく疼きだすのを止める術はなかった。

時折堪えきれないように肉茎がピクッと蠢いた。腰が小さく震えている。

「どうして欲しい?」

「………」

レイは顔を左右に振り、かぶさる髪で表情を隠した。カイは親指と人差し指で輪を作ると、レイ自身の根元を強く締めた。

張りつめた亀頭の先から、透明な液体が溢れ出す。

「言わないならこのままだな」

「………ッ!」

レイは真っ赤になって羞じらい、美貌を振りたてるが、やがておずおずと口を開いた。

「………さ……さわって……」

レイは首筋まで赤く染め、消え入るような声で呟く。

だが当のカイはニヤニヤと笑いながら、レイが求める部分の周辺を撫で回すだけだった。

「どこを触って欲しいんだ?」

レイ弱々しくかぶりを振った。

避けるように焦らしながら愛撫するカイに、レイは腰をがくがく揺すって呻いた。

「……やだ……もっと……」

「どこを触って欲しいんだ?レイ」

再度の問いに、レイの唇がわなわなと震えた。

だか身体の奥で官能の火が燻り続けていたレイには、妖しい疼きを押さえるのも限界だった。

レイはカイの腕を取ると、そのまま自らの股間に誘導してゆく。

「……ココ…」

カイの掌がレイ自身に触れ、ピクッと跳ねた。

「ココがイイんだな?」

返事をする替わりにこくん、と小さく頷くレイ。

それを合図に、カイは片手で肉茎をがっしりと掴んだ。

「あぁッ!」

焦らされ、待ち望んだ感覚に、自然とレイから声が漏れる。

人差し指の先で先端を弄られ、滴を塗り拡げるように撫でられると、次第にレイの声が上気してくる。

「んっ、あっ、あぁっ……」

何度か擦るように刺激を与えた後、カイは身体を後ろにずらし、唇を開いた。

右手でレイの根元を支えながら、長い舌を突きだし、まずは肉棒の外側を舐め始めた。

「はぁぁっ、んッ……」

いつもされている事とはいえ、ねっとりとした唾液を舌で絡みつかされる感覚に、レイの身体が小刻みに震えた。

カイの舌は、そのうち亀頭にかかった。尖らせた舌先で裏側の筋を舐め突くと、大きく張った表面に舌を這わせてくる。

やがてカイは、ぱっくりとレイの肉棒を咥えこんだ。ゆっくりと首を振り、レイに刺激を与える。

「ああっ、カイッ」

レイがひときわ大きな声をあげた。カイは首を振りながら舌を微妙に動かし、先端を突つくように舐め回すと、すぐにレイの呼吸が荒くなる。

下腹部を覆う快楽の波が、甘い痺れとなって全身に伝わってゆく。与えられる刺激に堪えようと、シーツを握り締める手に力が篭もる。

「も、もう…あ、ああッ!」

レイが小刻みに叫び声をあげ、熱い滾りをカイの口内へと吐き出した。白濁した液体がカイの口腔にこびり付く。

勢いが治まってからカイは鈴口を軽く吸い、溜まったものを吸いあげてから、ようやくレイ自身を解放した。

口腔内に溜まった白濁液を、唾液と共に大きな音をたてて飲み込むと、右手で口の周りの淫水を拭った。カイは立ち上がり舐め回すような視線で見つめた後、レイの顔を見据えた。

「……わかってるな?」

レイが身体をのろのろと起こし、ゆっくりとカイの方へ近づいてゆく。床にしゃがみ込むと、ベットがギシ、と音を立てた。

カイのベルトに手を伸ばしてきたが、いつものような落ち着きは感じられなかった。先だって見てしまった映像が重なり、少し緊張しているのかも知れない。

幾分震える指先で、レイはかろうじてベルトを緩めた。カイのズボンを、不器用な手付きで膝下までおろす。

紺系のブリーフが大きく膨らんでいるのを見て、レイは言葉にならない声を漏らした。問いかけるように、カイを見上げる。

「したいようにしていいぞ」

声に促され、レイはカイのウエストに両手の指を這わせた。ブリーフの縁に指をかけ、横に引っぱるようにしながらずり下げる。

露わになった肉棒は完璧なまでに硬化して、下腹部にピタッと貼り付いていた。張りつめた亀頭は先走りの粘液で濡れ、妖しい光を湛えている。

生唾を飲み込んだのか、レイの喉が鳴った。

「どうした?」

「……何でもない」

レイは一度大きく息をついてから、右手を伸ばした。震える指先で、やんわりとカイの肉棒をつまむと、先端を自分の方向へ向け直す。

ムッとした雄の体臭が鼻につき、レイの興奮が否応なしに昂ぶってゆく。

レイはゆっくりと唇を開いて、はち切れんばかりになった亀頭を、徐々に咥え込んでいった。

「……っ」

カイの背筋を、電流のような快感が走った。すざまじい感覚に、ほんの一瞬だけカイは我を忘れかけた。射精を堪えレイの痴態を観察することも楽しみの一つになっている。

鼻から小さな呻きを漏らしながら、レイは首をゆっくりと前後に振り始めた。

普段は、今までに回数をこなしているにも関わらず、決して慣れているとはいえない口使いで、それでも当初のように歯が当たるというような事は無く、それなりにツボを心得てはきているようだったが、全体としてレイの口唇愛撫は単調で、それだけでカイが達することができる訳では無かった。

だが今日はどうしたことか、レイの愛撫が通常よりも何倍も刺激的に感じられた。含んだ唇をすぼめ、亀頭に舌を滑らせ舐め上げてゆく。窪みに舌先を這わせ、カイの体液を丁寧に嘗め取りながら、唇に力を加え廻りから締めつける。

「くっ……レイッ……」

名前を呼ばれ、カイの肉棒を口に咥えたままレイが見上げた。視界に入ったのは、顔を顰め、仰け反るカイ。

カイが感じていることに、レイは映像で見た女優のように、一心不乱にカイの肉棒に刺激を与えた。緩急をつけて吸い上げ、時には口を離し手で竿を扱き、再び口に咥えると、さしものカイの呼吸も次第に荒くなってゆく。

「ぐっ!」

思わずカイの手がレイの頭を掴んだ。擦りつけるように激しく腰を動かすと、カイの肉棒はレイの口の中で大きく脈打ち、喉の奥に熱い迸りを放った。勢いよく吐き出されたカイの欲望はレイの口腔内一杯に満たされてゆく。

「んっ、んんんッ……」

レイは首筋から顔まで真っ赤に染めながら、ゴクンゴクンと喉から音を立てて飲み込んだ。

「はぁ、はぁぁ……」

レイの呼吸が落ち着くのを待つ間、カイは上着を脱ぎ捨て、全裸になった。

「今日はやけに積極的だな」

「そ、そんな事無いっ!」

「誰も悪いとは言ってない。……むしろ良い位だ」

「…そうなのか?」

「ああ。……そこに四つ這いになってみろ」

レイは素直に起きあがると、ベッドの上に両手と両膝を付いた。膝は肩幅程度に開かれている。

その光景に、カイは激しく欲情した。後ろから突かれるのはレイにとってあまり好みではない体位であるせいか、普段であれば素直に応じるような事は無いのである。

剥き出しになった白く淫猥な双臀に誘われ、カイは秘所に顔を近づけた。ふっと息を吹きかけるだけで、菊所が収縮してゆくのが見て取れる。

「…ヒクヒク動いてるな」

「い、言うな……」

「いいだろう、淫らしく動いているんだ……実はこうやって俺に見て欲しかったんだろう?」

「そっ、そんな、そんな事ないッ!」

「そうか……?レイ、本当は俺だけじゃなく、誰にでもいいから見てもらいたかったんじゃないのか?」

「やめてくれ、カイ、変なこと言わないでくれ…」

戸惑いながらも、レイは明らかに興奮しているのが感じ取れた。カイが言葉をかける度、レイの肉茎が熱く力を取り戻してゆく。

カイとしても、このような言葉で詰るつもりは無かった。さきほどまで見ていた成人指定番組で流れていた台詞を使って、レイをからかってみる程度だったのである。映像では言葉で責められてゆくうちに、女優が徐々に興奮していくようになっていた。

あれも演技、演出のうちだと思っていたが、明らかに興奮しているレイを見て、考えを改めなくてはならないな、と思うと同時にカイも異様なほどの興奮を覚えていた。

膝立ちでレイの背後に近寄り、両手でレイの太腿や臀部を撫でながら、唾液を絡めた指を秘所に差し込み拡げながら言葉を紡ぐ。

「いっそのこと、試合中に脱がせてやるか?そうすれば世界中の奴に見て貰えるぞ」

「なっ、何を言うんだカイっ!」

「実はタカオやマックスにもこうされたいと思っているんだろう?隣りに居るだろうから、呼んでみるか」

「やめて、やめてくれ、カイ…」

口ではそう訴えながらも、レイは四つ這いのまま腰をベッドに擦りつけていた。興奮が最高潮に達し、自ら慰めだしたのである。

ここまで効果があるものなのか、そんな感想を抱きつつ、カイはさらにレイに躙り寄った。肉棒の根元に手を当て、先端を秘所に近づけてゆく。

尻たぶが割られ、固く熱いものが押し当てられた。

「入れるぞ、レイ」

「ああ、カイ……」

押し当てられた所が疼き、腰を揺すってねだらずにはいられなかった。

殺気を感じるような鋭さで一気に貫かれる。

「ああっ!……ううッ……んっ……」

火柱のように熱く太いものが、躰一杯に深々と漲っている。息苦しさに喘ぎながら浅い呼吸を繰り返す。

後ろから突き上げられ、征服されたという実感がじわじわと全身に拡がり、喜びに全身が火照ってくる。

「どうだ?レイ」

背中越しにカイが訊く。

「うっ、うんっ、いいッ!」

逞しいものに突き上げられる度に、レイは仰け反りかえって呻きを漏らし、カイの欲望に従う喜びの声をあげた。

「あ、んっ……あっ、いい、ああっ」

腸壁内を擦り上げ、同時に身体を揺すられる感覚が全身を貫き、甘い痺れとなってレイの気を漫ろにさせた。

「ああっ、カイ、カイッ……」

カイの動きが激しく、攻めが厳しくなった。

肉茎がレイの体内から出て行く度、秘孔の内側の肉を裏返しにされ、再びレイの中に迎え入れる際に突き上げられる。

「くっ!」

潰れそうになる腰を強く引きつけられ、奥深く突き刺された肉棒の先端から、灼けた白濁液がレイの体内へと注ぎ込まれた。

「あッ、熱い!」

それとほぼ時を同じくして、レイの身体に鋭い痙攣が走った。手も触れていなかったレイ自身が脈動を開始し、欲望のエキスが噴出されベッドカバーへ染みを作ってゆく。

十回近くの脈動を終えて互いの肉棒が大人しくなると、カイはレイに身体を預けた。二人折り重なってベッドに倒れる。

その拍子にペニスはレイの体内から弾き出されてしまったが、カイは背後からレイの身体を抱きしめたままだった。肩の辺りに両手を置き、首筋にキスの雨を降らせる。

「どうしたんだ?今日はずいぶんと積極的だったな」

暫く動かなかったレイが、やがてポツリと呟くように言った。

「カイは……やっぱり女の人の方がいいのか?」

「はぁ?」

突然の問いかけに、固まるカイ。

「だって、さっきのテレビ…」

「…ああ」

漸くカイもレイが何を言おうとしてるのかが理解できた。

思い切って、ストレートに言葉をぶつけてみる。

「妬いてるのか?」

「ちっ、違うっ!ただっ、いっつもカイはニュースとか見てるのに、今日は、その、エッチなの見てたから…」

たまたま、偶然選ばれていたチャンネルを見ていただけだというのに。

カイは後ろからレイの身体を強く抱きしめた。

「こういう事をするのはお前だけだと言っているだろう」

「でっ、でもっ!」

「…そんなにわからないのなら、身体に覚えさせないといけないな」

「…やっ!もう、だめッ!」

本当のことを教えたらレイはどんな顔をするのだろうか。

そんなことを想像しながら、カイは再びレイの身体を愛撫しはじめた。

 

 

 

 

 

その日は、やっぱりレイが可愛く見えた。

 

 

 

(終)

出張でビジネスホテルとか泊まったりするんですが、
つい見ちゃうんですよねぇ……。
謎だ。
 
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