title :   秘めハジメ
来年までよろしくお願いいたします。



 

 

 

12月31日、大晦日。

 

年の瀬を迎え、正月料理の買い出し客でアケボノ町のスーパーも人で溢れている。

子供連れや荷物持ちに旦那を従えた主婦らでひしめきあう中、小さなメモを右手に、買い物カゴを左手に持ち、眉間に皺を寄せながら火渡カイは陳列棚を睨みつけていた。

「……かんぴょう?……これか。あとは…………くちなしの実?……なんだこれは」

スーパーで買い物など、付き添いで来ることはあっても一人で来たことはなく、目当ての物を探すだけでも人混みの中を右へ左へ彷徨わされてしまう。

「……ったく、何処に売ってるんだ?」

只でさえ人混みが煩わしい上、滅多に買わないような物を探させられ、次第に皺が増えてゆく。

それでも、どことなく楽しげな表情を浮かべながら。

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

遡ること約一週間前。

クリスマスパーティという名にかこつけたバカ騒ぎがようやく終わり。

帰る方向が同じだからと二人並んで歩く道中、不意にレイが声を掛けてきた。

「カイはお正月、どうするんだ?」

「……別に、いつも通りだな」

「どこか行ったりしないのか?」

「……特にその予定は無い。家に居る」

「そうか……」

「……お前はどうするんだ?正月は中国に帰ると言っていたが、いつから行くんだ?」

「それが……実はチケット取り損ねて……。そうそう大転寺会長に頼むのも気が引けるし……」

それきり沈黙したままで。

二人の靴音だけが真冬の寒空に響き渡る。

(……誘っているのか?)

やがて二人の家路を別つ分かれ道に差し掛かる。

家に来るか?と口を開こうとした矢先、躊躇うようにレイが声を掛けてきて。

「あ、あのさ……もし邪魔じゃなかったら、カイの家で年越ししてもいいか?」

「……は?」

考えていたことが見透かされたのかと、一瞬焦る。

「あっ、ほらオレ、日本のお正月ってちゃんと過ごしたことがなくてさ、せっかくの機会だから……」

「……ふむ」

「それに、カイだったら伝統とか仕来りとかそういうの詳しいかなぁって思って……」

「……ようは、正月にひとりは寂しいから一緒に居てくれ、という事か」

「…………どうしてそういう言い方しかできないかなぁ……」

顔を真っ赤にして怒るレイだったが、最後までそのことについては否定しなかった。

(……まさか、な)

 

 



 

 

レイの言葉を額面通り信じていた訳では無かった。だが、年末になると、あたりまえのようにレイが家にやってきた。

ドアを開けると、両手にスーパーの買い物袋をぶら下げたレイの姿が。

「……なんだその荷物は」

「え?正月料理を作るための食材だけど」

「……ひょっとしてお節を作る気か?」

「もちろん!本で調べて作れそうにないものは出来合いを買ったけどな。カマボコとかダテマキとか……。あ、でも初めて作るから買い忘れとかあるかも……」

適当にケータリングでも頼もうと思っていたが、レイが本気な以上、生半可に対応する訳にもいかなかった。

さすがに一人暮らしでは重箱の持ち合わせなど無いので相応のものを手配したり、どこから知ったのか鏡餅が無いとレイが言うので正月飾りを買って飾りつけたり、天井の煤払いから電球の交換まで……。

例年になく慌ただしい年越しの準備をしていると、夜は一つのベッドで寝るという絶好の機会にもにもかかわらず、疲れていたためかすぐに眠ってしまい、いつの間にか大晦日当日を迎えてしまった。

朝から台所に向かい料理を作るレイに、何か手伝うことがあるかと声を掛けてみた。

その結果、スーパーへと足を運ぶことになってしまったのである。

 

 

 



 

 

「あとはみりんと料理酒か……」

適当な日本酒を籠に入れ、みりんを選ぼうとして、ふとカイの足が止まる。

『今なら屠蘇散が付いてます』

屠蘇散とは「お屠蘇」を作るための「お屠蘇の素」といった筋合いの商品である。みりんや日本酒で作られることが多いため、この時期は販促用の付録として使われることが多かった。

「……使えるかも知れないな」

そのメーカーの商品を買い物カゴに入れ、レジで精算し、帰路に付いた。

「おかえりなさーい」

ドアを開けると、元気な声とともにレイが台所からバタバタと現れた。

胸元にフリルの付いたエプロンが眼に眩しく、いくらカイ自らが用意したものだとはいえ、直視できずにいた。

「ん?何か変か?」

「……いや、何でもない」

まさか正直に言う訳にもいかず、言葉を濁す。

「台所に運べばいいか」

「ああ、テーブルの上にでも置いといてくれ」

二人揃って台所に戻ると、レイは料理を再開し、カイはテーブルの上に買ってきたものを並べてゆく。

そのうち、屠蘇散だけはこっそり瓶から外し、ポケットに仕舞い込んだ。

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

夕方にはお節料理の用意も終わり、あとは年を越すのみになった。

年末の風物詩となっている歌番組を見ながら夕食を済ませ、除夜の鐘が鳴るまでのまったりとした時間が流れてゆく。

「そういや香港のホテルでもこの歌番組流れてたな」

「衛星放送だからな。電波さえうまく拾えれば映るだろう」

そんな他愛のない会話をしながら、ふとカイが口を開いた。

「年越し蕎麦はどうする?」

「食べる!」

あれだけ夕食を食べた上にまだ食べるのか、と即答するレイに苦笑しつつ、カイは台所に向かうと、買い置きの乾麺を茹でてゆく。

茹であがるまでの時間を利用して、ポケットの中に仕舞い込んだ屠蘇散を取り出すと、ティーバッグの紅茶を水出しする要領で、器に入れ日本酒と一緒に漬け込んだ。

「そういや、どうして年を越すのに蕎麦を食べるんだ?」

「諸説あるが、蕎麦が長いことから長生きを祈るというのが一般的だな。そういう意味ではうどんでもラーメンでも良いのかも知れん」

「へー。でもどうしてご飯食べたあとなのに又食べるんだろうな」

「昔は正月の準備で忙しかったから、夕食を簡単に作れる蕎麦で軽く済ませていた、という話もある。それが今では夜食代わりになっている事が多いが」

「まぁオレとしては沢山食べれる方が嬉しいけど」

「……お前のような奴が多かったからこうなったのかも知れないな」

蕎麦を食べながら話をしているうちに、テレビでは歌番組が終わり、除夜の鐘が鳴り響きはじめた。

レイは他のチャンネルにどんな番組が流れているのか興味津々で、迷いながらも次々と替えてゆく。

「あと十五分で新年だ。早く食べてしまえ」

「え、何かあるのか?」

「特に何がある訳ではないが……年を越す前に蕎麦を食べ終わらないと効果がない、と言われているな」

慌てて蕎麦を流し込むレイの姿を見て、カイの頬が緩む。

満ち足りた時間。

新年を迎えようとしているのに、このまま時が止まってしまえば良いのに、とさえ思ってしまう。

「ふー、ごちそうさまでした」

別の意味で満ち足りた表情のレイ。

お腹をさすりながら、レイが小さな声で呟いた。

「来年も、こうして過ごせるといいな……」

聞こえるか聞こえないか、という程の小さな呟き。

「そうだな……」

同じくらいの小さな声で返すカイに、レイがハッと顔を上げた。カイと瞳が合う。

「「そ、その……」」

どう言い繕おうか二人同時に言葉を失った瞬間、テレビからクラッカーの破裂音と共に「ハッピーニューイヤー」の声がひときわ大きく聞こえてきた。

「……年が明けたらしいな」

「あけましておめでとう!カイ」

「……ああ」

「今年もよろしくな!」

「……ああ」

生返事がしたかった訳では無かった。

生返事しかできなかった。

ビジネスライクな挨拶なら幾らでもできる自信があったが、恋愛感情を抱いた人物を相手にすると、途端に言葉が出なくなった。

未だに慣れない感情をどう扱ってよいか、顔が赤くなる。

「……へへ」

「……どうした?」

「来年はカイの口から『おめでとう』って言わせるからな!」

「フッ……できるものならやってみろ」

からかうような調子で囁くカイに、レイは唇をカイの口に押しつけた。

唇を合わせながらレイがぎこちなく舌を入れると、カイの舌がそれに答えてゆく。

カイが可憐なレイの舌を強く吸うと、かすかに声が漏れた。

「新年、初キス、かな?」

唇を外し、レイはカイの首に両腕を絡めて、微笑を浮かべながら言った。

「いやだった?」

答えるかわりに、連られて笑みを浮かべたカイの方から、二度目の口吻を交わした。

レイの唇をしばらく貪るように吸いたてたのち、口の中に舌を差し入れてゆく。

肉厚の舌がレイの口腔内を淫らに蠢いたかと思うと、こんどは舌が抜けるほどきつく吸いたてた。

あまりの強さにレイは堪えきれず唇を外し、顔を横に向けると深い吐息をついた。

その間にカイの唇は、レイの耳たぶからうなじへ、そして首筋へと順に這いおりてゆく。

「あっ……」

レイの口から喘ぎ声が漏れるのを合図に、カイは服を脱ぎながら器用にレイの衣服を解くと、裸身をソファーへと押し倒した。

「ええと……初えっち?」

「『姫始め』という言葉があるが、言い得て妙だな」

カイの指がレイの乳首に触れた。外気に触れ硬くなり始めた先端を摘むと、レイの口から悩ましい声が溢れ出た。

カイは身体を少しずつずらすと、唇を乳首に寄せ、舌で舐め取った。硬く突出した乳首が舌に当たり、心地よい感触が伝わる。

「あぁ、うぅん……」

レイは両腕をカイの首に絡めると、背中を反り返らせた。

涎を塗すようにしながら、カイは両方の乳首をかわるがわる口に含み、舌先で転がし吸いたててゆく。

「はぁっ、んッ……」

レイの悶える表情を見ながら、右手で裸の双臀を撫で回した。谷間にひそむ秘められた蕾を探り当てると、指をレイの口腔へ運び唾液を絡めさせた。

ピチャピチャという音が響き、指先にレイの柔らかな舌を感じる。その間も胸の突起は口ともう一方の手によって弄び続けられていた。

唾液がほどよく絡みついたところで、レイの口から指を抜き取り、濡れた指先をレイの秘所にゆっくりと差し込んでゆく。

慣らされていない入口は固くすぼまり、粘膜が指先に吸い付くような感覚さえあった。

「あッ……あぁ……」

レイは噴きあがろうとする声を噛み殺そうとするが、固く口をすぼめた秘所がゆっくりと揉みほぐされてゆく感覚には抗うことができなかった。差し込まれる指の数が増えるたび、レイの秘所は次第に緩んでゆき、やがて水分を含んだ綿のように柔らかくなった。

カイは身体の向きを変えると、レイ自身を正面に見据えるように四つんばいになった。自然と、レイの顔の真上に自らの怒張が来るようになる。

「あぁ、カイのだ……」

レイはカイの肉棒に手を添えると、誰に言われるまでもなく自らの口へと導いた。躊躇うことなく唇を寄せ、勢いよく吸い付くと、カイの腰が震えを起こした。

ヒクヒクと震えるカイ自身を、レイは舐め取るように先端から舌を這わせてゆく。上下左右に舌を揺らしたのち、円を描くようにして転がすと、カイの鈴口から透明な涎が溢れ、レイの舌に絡みついた。

「う……」

小さく呻いたかと思うと、カイは腰をくねらせ、レイの唇に自分自身を押しつけた。

その結果、レイの口にカイの肉棒がより深く入り込んでゆく。一気に喉の奥まで侵入してきたカイに、息をするのもやっとな程に口腔内を支配されてしまい、それでも懸命に舌を動かしていった。

鈴口の合わせ目を何度も舐め取りながら、雁首の割れ目に舌を押し入れるようにして内部まで突くようにくるくると動かす。

飲み込めない唾液が溜まり、ピチャピチャと淫らな音を立てた。

「くっ……レイ……」

カイは唾液を塗した指でレイの秘所を揉みほぐしながら、レイの肉茎を口に含んだ。

口を窄めて右に左に動かしてゆくと、レイの口からくぐもった声が漏れる。

先端を喉で締めつけるようにしながら鰓首を吸い立てると、先端に蟻が這い回るような感覚に襲われ、レイの腰が小刻みに震えた。

空いている片手で肉茎の根本を握ると、カイはレイ自身を含んだまま口を上下に動かした。

「んんっ……」

悶えようとするレイの声は、口腔内を塞いでいるカイ自身によって、言葉にならない喘ぎと化した。

カイの動きは次第に早くなり、レイを激しく責め立ててゆく。頬を窄め、口腔の内壁で包み込むようにしながらレイの肉茎を根本まで飲み込んだ。

微かに塩気を含んだ粘性の液体がレイの身体から大量に分泌され、カイの口腔に広がってゆく。唾液が溢れ、レイの肉茎を伝い落ち、レイの秘所を濡らしてゆく。

肉茎を唇で摩擦し、舌で裏筋を擦ると、レイが泣き濡れたような声と共に、腰を突き上げてくる。ネチョ、ニチョという粘っこい音があたりに響く。

「んっ、んんーッ!」

レイがカイの身体にしがみついたかと思うと、レイから一段高いくぐもった声が漏れた。次の瞬間、レイの亀頭が大きく膨らみ、熱い飛沫がカイの口腔内に吐き出され、喉を強く打ち付けた。

幾度に分けて吐き出される欲望を全て受け止めると、カイはその殆どを唾液と共に飲み干した。

カイは僅かに口腔内に残したレイの精液を指に絡めると、再びレイの秘所を指でほぐし始めた。すでに長時間愛撫を受けていたため、指の数本は楽に入るほどに緩く柔らかくなっていた。

挿し込んだ指を捻りあわせ、くるくると回転させ、指先を曲げて敏感な内壁をまさぐってゆく。さらに開くように抽送を行い、指を引き抜いてもぽっかりと穴が空いたままになるほど押し開かれた。

「んぐっ……はぁ……はぁぁ……」

ようやく口腔が解放され、レイは溜まった唾液を飲み込みながら荒く息をついた。

カイは再び姿勢を変えると、レイの腰を浮かせてクッションをあてがった。挿入しやすく角度を付けるためである。

レイの秘所は今にも弾けんばかりに口を開け、ピンク色の内壁を妖しくのぞかせながら蠢いていた。

「挿れるぞ。力を抜け」

「うん……来て……カイ……」

レイは脚を開き双臀をせり上げるようにして、カイを受け入れやすい姿勢を取る。

唾液でしっとりと濡らされたカイ自身が、レイの臀丘に触れ、秘所に押し当てられた。

「いくぞ……」

先端を蕾の入り口にあてがうと、ゆっくりとめり込むようにレイの体内に自身を埋め込んでゆく。

「ああっ!」

待ち焦がれたもので貫かれる感覚に、レイの口から歓喜の声が漏れる。

肉棒の頭が押し戻そうとする柔肉を貫くと、あとは一気に根本まで沈んだ。

「くはぁ……あぁ……」

カイの存在を最奥に感じ、たまらずレイから声が漏れた。もっと強くカイを感じていたくなり、自然と両腕がカイの身体に廻る。

カイもすぐに動こうとはせず、レイの肉の感覚をゆっくりと堪能していた。久しぶりということもあり、熱くとろけそうな感触に、直ぐにでも気を遣りそうになってしまう。

そのうち、ゆっくりとカイは腰を揺すりだし、レイを突き上げはじめた。

「ああッ、はぁ……ああッ、もっと……」

カイの肉棒はレイの唾液と精液とをまとわりつかせながら、ゆっくりと秘園を出入りしはじめた。

頭の中が虚ろになり、身体中が痺れ、背筋が焼け爛れる。吹き出した汗が肌を伝い、ソファーに染みこんでゆく。

レイの柔壁が、カイ自身をとろけるように締め付けてきた。淫らな肉が熱い楔で幾度となく擦られるたび、快感がうねりとなって二人を昇り詰めさせてゆく。

カイは、めくるめく快感をグッと歯を噛みしめて堪え、腰を強く前に押し出してレイの中を味わっていた。

「はあッ、ああっ……いいッ、いいっ……」

媚肉を突き上げられるたびに、より一層深く繋がろうとして、無意識にカイの身体に回されたレイの腕に力が込められる。

カイが打ち込む動きのリスムに合わせてレイが喘ぎ、身体中をガクガクと痙攣させた。身体の奥から盛り上がってくる激しいうねりに、レイは白目を剥き、顔を引きつらせる。

「も、もうっ、ダメッ、いきそう……」

身体の震えが一瞬ピクリと止まり、レイの下腹が大きく波打ち、カイの腰を挟んでいた脚が、ピーンと宙に伸ばされた。

「俺もそろそろだ、いくぞ…」

カイはグチョグチョと粘性音を立てながら鰓首に力を込め、猛然と抽送運動を行った。空いた手でレイの肉茎を掴み上下に扱いてゆく。

「ああっ、カイ、カイィィッ!」

レイが大きな嬌声をあげカイの名を呼ぶと、自身から二度目の欲望が吐き出された。噴き上げた体液は、二人の身体にまんべんなく降りかかる。

「くぅッ……」

それと同じくしてカイが達し、レイの体内に白濁した樹液を噴きあげた。身体の最奥まで届けとばかりに、大量の粘液を幾度となく放ってゆく。

その最中にひときわ大きく締め付けられ、カイはまるで身体中の体液が搾り取られてしまうような錯覚さえ感じられた。

欲望の全てを吐き出した後、カイはぐったりとレイの上に覆い被さるように倒れ込んだ。ぴったりと身体を寄せ合い、呼吸が収まるまでひとしきり身体を抱きしめあう。

「……とりあえず、初風呂だな」

「……はぁッ……はぁ…………うん……」

「……一眠りしたあと、初詣に行くか?」

「……その前にゴハンがいいな……」

「……まぁ……一眠りしたあとで考えるか」

「…………うん…………眠い……」

「待て、その前に風呂だ。寝るな」

すでにレイは意識をあらかた向こうの世界に持って行かれようとしていた。

抱え上げて風呂場へ連れて行こうとして、ピロロロロロ、と電話機が鳴り響いた。

「誰だ、こんな時間に……」

ディスプレイに表示された電話番号は、今、最も邪魔されたくない奴の家。

触らぬ神に祟りなし、とばかりに無視していると、そのうち留守番電話に切り替わった。

 

『おい、カイッ!レイがそこに居るんだろッ!?』

『ああ、タカオ~。まだレイがカイの家に居ると決まった訳では~』

『絶対居るに決まってるネ。レイのパスポートはBBAの本部に預けたままだったし、レイの家に電話掛けても出ないしネ』

『いいか?明日は初詣に行くんだからちゃんとレイを連れてこいよ!わかっ…』

 

ツーツーツー。

録音時間が一杯になり、強制的に通話が切断される。

今年も秘密にしなければならない事が多そうだなと思いながら、カイはすでに夢の世界の住人と化した眠り姫を両手で抱きかかえた。

 

 

 

 
(終)

正月の空き時間を利用して書こうと思っていたんですが
思ったより時間が取れなかったという……(汗)
 
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