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続・秘めハジメ
今年もカイレイで。
1月1日、元旦。
「いただきまーす!」
「……いただきます」
二人向かい合って座るテーブルの上には、三段重ねの重箱が並び、レイ手製の色とりどりのお節料理…蒲鉾、数の子、伊達巻きといった出来合いのものから、玉子焼き、筑前煮、黒豆、栗きんとん、昆布巻き、海老の酒蒸し、等々…が綺麗に納められていた。
「本を見て作ったんだけど、食べたこと無いものが多いから難しいかったな」
「……まぁ、味を知らないで作ったのであれば、上出来ではないか?」
「ホントか!?」
「ああ。特にコレなんか甘過ぎなくて丁度いい」
ああでもこれはちょっと塩味が足りなかったか、などと互いに気付いた点を評価しあううちに、ふとカイが思い出したように台所へ行き、透明な容器を手にして戻った。
「そういえば、食事の前に飲むのを忘れてたな」
「ん?何だそれ」
「お屠蘇だ」
「おとそ?」
聞いたことの無い単語にレイの箸が止まり、自然と首が傾く。
「……まぁ、薬草酒みたいなものだな。元々は中国から伝わったものらしいが、無病息災と長寿を願う意味があるそうだ」
「でもお酒なんだろ?マズいんじゃないか?」
「昔からお正月は老若男女問わず飲んでいたからな。せっかく用意してみたことだし、少しなら大丈夫だろう」
「え、カイが作ったのか?」
「作ったという程ではない。ただ漬けていただけだ」
仄かに黄色く色づいた液体を杯に注ぎ渡すと、レイは多少戸惑いながらも恐る恐る口付けた。
「確かに薬草の味がするな……ちょっと苦いけど、美味しいかも」
「そうか」
そのまま自分用の杯にも注ごうとしたカイの手は、やんわりとレイに制止させられた。
「手酌は出世しないらしいぞ?」
「……お前な……いや、誰が何時何処でそんな事を言っていた?」
「前に仁がそう言ってた。だからお酌してくれって何度も頼まれたんだ」
(あの変態忍者め……)
いずれ奴とは決着を付けなければならないなと誓う間に、レイはカイの手から容器を奪い、ゆっくりと杯を注ぎ満たしていった。
くいっ、と一気に煽ると、確かに草を煎じたようなほろ苦い味が口内に広がった。
「……安物にしては妥当な所か」
「なんか懐かしい味がする……村の祭りの時に飲んだお茶に似てる……」
「まあ起源が中国である以上、似たような風習が残っていても何ら不思議では無いな」
「うん……美味しいな……」
「お前が村で飲んだ奴もこんな味だったのか?」
「んぁ?うー……んんー?」
「……レイ?」
明らかに様子のおかしいレイの手から器を取り上げると、中になみなみと満たされていた筈の液体は、一滴残らず何処へと消え去っていた。
自分で用意したのから覚えているが、かなりの量が入っていた筈。自分が飲んだのは多く見積もっても御猪口に一杯程度。
そうなると考えられることは只一つ。
「おい、まさか全部飲んだのか!?」
「なーにーがー?」
…既に手遅れであった。目はとろんと潤み焦点が定まっておらず、頬が真っ赤に染まっている。
「お前、酔っぱらってるだろう」
「よっぱあってにゃんからいろ」
「いくら味が似ていたとしてもこれは日本酒だ。それなりにアルコールは入って……おい?」
カイの言葉を遮るように、レイは自らの腰布に手をかけると乱暴な手つきで解いてゆく。
「暑ーい」
そう何度も言いながらレイは服を脱ぎだした。
カイが止める暇もなくレイは上着を脱ぎ捨ててゆく。下着ごとズボンを引き下ろすと、あっという間に一糸纏わぬ姿が眼前に晒け出された。
「オレが暑いんらから、カイも暑いらろおー?」
予想だにしてもみなかった展開に、カイの口元がニヤリと動いた。
「確かに暑いな……脱がしてくれるか?」
「ああ!」
レイの手が首元にかかり、シャツのボタンが一つずつ外されてゆく。
カイは脱がし易いように身体を浮かせてやるがのだが、酔いが回っている事もあるせいか、指先が思うように動かないらしい。
「だぁーっ!」
突然レイの叫び声が放たれたかと思うと、同時に、びりり、と布の裂ける音がした。
ぷちんと弾けてボタンが跳び、あとに残されたのはただの布切れと化したシャツの残骸を身に纏い呆然とするカイの姿。
*霊界じゃありません(笑)
「お、お前な……」
「涼しくなっら?」
屈託の無い笑顔を浮かべるレイだったが、酔っているせいかどことなくうっとりとした淫らしさが浮かんでいるような気すら感じ取れた。
思わずゴクリ、とカイの喉が鳴った。
「酔っ払いにはお仕置きが必要だな」
只のボロきれになった服を脱ぎ捨て、カイは両手でレイの身体を羽交い締めにすると、そのままお仕置き部屋という名の寝室へと強制連行して行くのであった。
■
「んんんっ……くぅっ……ゆ、許ひ……も、もうっ……」
華美なキングサイズのベッドの上に、一糸纏わぬ姿のレイが四つん這いになっていた。丸みを帯びた柔尻を突き出すように露出させられている。
飲んだお屠蘇の影響か、白い裸体のあちこちにピンク色の花が咲き、しっとりとした肌を際立たせていた。
「もう、どうしたというんだ、レイ」
そんなレイの側でカイは胡座をかきながら座っていた。
カイの片手は、目の前でくねるレイの弾力的な柔肉を掴んでいる。もう一方の手には、直径二・五センチほどの球体が連なった淫具。その半分以上は、すでにレイの体内に収められていた。
「ほら、もう一ついくぞ」
放射状の襞が刻まれた皺を巻き込みながら、白い球体がまた一つ沈む。
「や、やあ……無理……んんあぁぁっ!」
「こんな程度で無理な訳無いだろう」
カイはアナルビーズを根元まで押し込んだ。
「んっ、はぉぁぁッ」
レイの背中が大きくのけ反り、肩までの黒髪が乱れて、はしたない声が響く。
「それとも我慢したほうがイイからわざとそうしているのか?」
カイは身を乗り出し、レイの柔尻に軽く口づけると、その秘所から生えた金属性のリングに指を掛けて、前後に揺さぶった。
「くぅッ、あはァ……」
白球がレイの狭い孔を通り抜けるたびに、尻から内腿にかけてが小刻みに波打つ。
その度に肉茎の先端から新たな涎が溢れ、糸を引きながらゆっくりとシーツの上へ垂れ落ちてゆく。
「ほら、もっとイイ声で鳴いてみろ」
レイは顔を枕に落として、襲い来る快楽に耐えるべく荒い呼吸を続けている。
既に時間の感覚は消えうせ、あれから何分経ったのかすらわからないが、ただこの甘美な責めが永遠とも思えるように感じられた。
「んぁぁッ!」
「そろそろ欲しい頃だろう、レイ」
体内に埋め込まれた異物をもう一捩りされて、レイは屈した。
「ひぁッ、う、ン、ほ、欲しい、欲しいッ」
ベッドの上で握り締めた手が小さく震える。
「なら、いつものように」
カイが身体を起こし、ベッドの脇へと立つ。
「あ、あぁ……」
恨めしげに、そして物欲しげな眼差しで振り向くと、レイはそのままの姿勢で身体をカイの方向へずり下げてゆく。
そうして異物を飲み込んだままの柔尻をカイに見せながら、床へと足を降ろした。
腰を高く上げ尻を突き出し背筋を反らせたレイは、誰に命じられるまでもなく、両手で双丘を大きく割り拡げる。
「お願いだ……カイ……もう、入れて……」
揺らいだ瞳は焦点すら合っていないのではないかと思える程の情欲さをたたえていた。
淫らに柔尻がくねる。ぴっちりとビーズを咥えこんだ淫裂から、僅かに空気が漏れ、プスッと音にならない音が漏れた。
「仕方の無い奴だな」
カイは焦らすようにしながら、ズボンのファスナーを下げた。はちきれんばかりに膨らんだ怒張を手で摩りながら、もう一方の片手でレイの身体から生えている金属性のリングを捕える。
「これは抜くぞ」
「あ、それはっ、あ、あぁぁッ」
直腸内に埋め込まれていたアナルビーズが、一息に引き抜かれた。それだけの刺激で、肉欲を嬲られ続けていたレイの肉体は、あっけなく絶頂へと放りあげられる。
「あ、あぁっ!で、出るッ!」
レイの嬌声と同時に、先走りの粘液でぬめった肉棒の先端から、白い飛沫がシーツ目がけて勢いよく放たれた。
身体から吐き出された白濁液はベッドのあちこちを染めあげてゆく。
「あぁっ、だ、ダメッ!あぁぁッ」
はしたない事をしていると頭の片隅ではわかってはいても、襲いかかる絶頂の前には軽く押し流されてしまう。
レイは甘い声をあげながら柔尻を震わせ、欲望の赴くままにベッドの角に自分自身を擦りつけていた。
「ひぁッ?」
射精の余韻でヒクヒクと収縮する柔襞を押し入ってくる感触に、レイは身体をのけ反って声を漏らした。
カイの指がレイの淫孔に触れ、そのまま挿し込まれたのである。指先で円を描くように揉みこむと、粘膜が皮膚に絡みついてくる。
脅えるように一瞬つぼまる様子を見せながらも、すぐにレイの秘肛はとろけるような柔らかさをみせはじめた。
「ああ、あぁ…ッ、ん……ああぁッ」
カイは指を根元まで沈めた。
しっかりと咥え込んだそこは、レイが歓喜の声をあげる度にきつく締め付けられる。
カイはレイの体内深く埋め込んだ指をまわし、ゆっくりと抽送させ始めた。
「あッ、んふっ、あぁぁ、んッ……」
レイは黒髪を振りたくって身体をゆすり、前後する指の動きに合わせて自ら腰を捩りあげる。
「お、お願い、も……くぅぅッ」
必死の哀願にカイは小さく頷くと、ゆっくりと指を引き抜いてから、腰をレイの双臀に割り入れた。脈打つまでに硬くなった肉棒を掴みあげる。
「入れるぞ」
興奮しているのか、珍しく上擦った声で囁きながら、カイは荒々しくレイの媚孔に押し入った。
「あ、あぁぁっ、あぁぅッ」
慣らされた柔襞は異物を押し返そうとする動きもみせず、カイの怒張は一気に根本まで沈んでゆく。
「くはぁ……あぁ……」
後ろから突き上げられる感覚に、たまらずレイから歓喜の声が溢れた。
カイの怒張をぴっちりと咥え込んだ淫孔は、意識せずとも周りから包み込むように締め付けてゆく。
「くっ……」
とろけるような感触に、カイの口からも吐息が漏れる。灼熱の楔が淫肉を軽く擦る刺激だけで、気を許すとすぐにでも達してしまいそうになる。身体を駆け抜ける快感をどうにか堪え、カイはゆっくりと腰をレイの奥深くへと進めた。
「ああッ、ン、イイッ……」
さっきの絶頂の余韻がまだレイの身体を支配している。その上酔いも手伝っているのか、後ろから軽く突かれるだけで目が廻りそうになる。レイの身体が小刻みに揺れた。
「ン、あッ、イ、イイッ、ンンッ!」
カイの動きに合わせるように、鼻に抜ける甘い声がレイからこぼれ落ちる。
全身へと染み渡る甘美な波動に、レイの華弁は収縮し、激しく打ち込まれる肉棒と絡み合ってゆく。
「どこがイイんだ?言ってみろっ、レイっ!」
「あ……やッ、もっと奥…ぅっ」
絶え絶えの嬌声を漏らしながらも、肉壁がヒクつきカイの肉茎を更に奥深くへ誘導する。
「もっと奥がイイんだな?」
敢えて確認するように声を掛けながら、カイは音を立てるようにしながらレイの体内を激しく貫いてゆく。
グチュ、クチュ、と淫らな音が響きわたる。レイの体が大きく反り返り、一際高い声を上げた。
「うんッ、イイ…イイッ……もっ…もっとぉッ!」
カイが激しく打ち付ける度にレイは内臓が引き出されるような感覚に襲われ、思わず息を呑む。
このまま呼吸困難に陥ってしまいそうな感覚に襲われるが、もうそうなっても良いと思える程にレイの身体はただ目の前にある快楽を追い求めていた。
「くっ……レイッ……」
限界を近くに感じ、うつ伏せの躯を押さえつけながら、カイは激しく抽送を繰り返してゆく。
「ああッ、カイ、カイッ!」
淫孔の内襞を裏返しにされ、また体内へと巻き込まれる。腸壁内を擦られる感覚が全身を貫き、甘い痺れとなってレイの躰を覆い尽くす。
「は……ぁ……くッ!」
腰が潰れそうになる程強く打ち込まれ、身体の奥深く挿れられた肉棒の先端から、灼熱の欲望が行き止まりのない内臓の奥深くへと叩き付けられる。
「あ……あぁ、あああッ!」
カイの熱い迸りを何度となく受け止めて、レイもまた肉茎の先端から白い飛沫を迸らせた。それらは再びシーツの上に飛び散り、染みを作っ汚いった。
「あァ……ッ……」
互いに欲望を吐き出し終えると、レイは充足感に満たされた笑顔を見せながら、崩れ落ちるように意識を手放してゆく。
「おい、起きろ。寝たらお仕置きにならないだろう」
慌てて声をかけ身体を揺すってみるものの、遂にレイを夢の世界から連れ戻すことは叶わなかった。
そういえば昨日もこうだったなと独りごちながら、レイの身体を抱き上げとりあえず浴室へ連れて行こうとした時、同じようにピロロロロロ、と電話機が鳴り響いた。
「まさかな……」
だが、ディスプレイに表示された電話番号は、つい数時間前にも見たような気がする見知った家のもの。
ちょっと好奇心が沸いたこともあり、昨日のように無視していると、同じように留守番電話に切り替わった。
『おい、カイッ!いるんだろっ!?今日は初詣行くって言ったじゃねーか!』
『ああ、タカオ~。それは集合場所や時間を言って無かった私達の方にも非がある気がします。ひょっとしてまだ寝てるのでは~』
『そんなコトないネ。カイのコトだからゴハン食べてから姫ハジメでもしてるんじゃナイ?』
『とにかくカイ!今からそっちへ行くからな!出てくるまでドア叩いてや…』
ツーツーツー。
録音時間が一杯になり、強制的に通話が切断される。
(今から来るだと?)
ふとレイの方に視線を見やると、当人は既に夢の世界の住人。しかもベッドの上はレイが放った精液まみれで、とても寝具として使えるような状態ではなかった。
だからといって新年早々シーツを洗濯なんかしていたら、それこそマックスが言っていたことを認めるようなものである。かといってこのまま放っておけばシミになったりニオイが取れなかったりもする。そんな場所にレイを寝かせる訳にもいかないし、万が一奴らに寝室に入られたら言い繕いのしようもない。
満ち足りた笑顔をたたえた眠り姫を腕に抱きながら、自業自得とはいえカイは正月早々一人苦悩するのであった。
(終)
年に1日のペースってどうよ?という声はご遠慮いただきたく(汗)