title :   0214
0214(0721じゃないですよ)





2月14日、バレンタインデー。

製菓会社の陰謀という声はあるものの、チョコレートを贈る習慣が一大年中行事と化した現代社会においては、ここアケボノ町といえども例外では済まされなかった。

この時期は商店街もピンク色のリボンで包まれたかのように飾られ、あちこちから甘い香りが漂ってくる。

そんな中、マックスとレイは夕食の買い出しのため揃って出かけていた。本来ならば今日の買い物当番はカイとマックスの筈だったのだが、カイが会社の仕事を手伝うために抜け、その穴を埋める為にレイが立候補したのである。

普段からレイ達がよく利用しているスーパーのお菓子売場も例に漏れず、色とりどりの包装紙に包まれたチョコレートが並べられていた。最終日ということもあって人混みはピークを越えてはいたものの、それでもチョコレートを求める人の客足が途切れることは無かった。

ショーウィンドーに飾られた大量のチョコレートと、そのチョコレートを物色する女の子達を遠巻きに見つめながら、レイは小さく溜息をついた。

「どうしたノ、レイ?」

「……いや、ちょっと…………」

いつになく言葉を濁しながら、レイは人垣の隙間から棚に陳列されているチョコレートをチラチラと覗いてみる。

(どれが甘くないのかな……聞くのも恥ずかしいし……)

「フーン……」

マックスの目には、明らかにレイの意識がチョコレート売り場へと引き寄せられているのが見え見えだった。

人目に付かないようこっそりと買おうと思ってはみたものの、あまりの人の多さにどうしようか躊躇しているのであろう。

思考に入り込んだレイを呼び戻すべく、マックスはまわりに聞こえる程大きな声で言った。

「ねぇレイ。今年はカイにチョコあげるノ!?」

「マ、マックスッ!!」

例え買ったとしてもどうやって渡せばいいんだろうか……。そんな事を考えていた矢先に意中の名を出され、上擦った声で名前を呼ぶのがやっとだった。あまりにも大きい声をあげてしまったため、何事かと周りの視線がレイに集まってしまい、慌ててマックスの腕を引っ張りながら店の奥へと移動してゆく。

「ななな、何を言い出すんだッ!?」

「だってチョコ欲しそうな顔してたヨ?だからカイにあげるのカナ、って」

「オッ、オレは……その……別に……」

両手の人差し指をくるくると回して輪を作りながら、顔を真っ赤にして俯いてしまうレイだった。

カイとレイ。二人の仲はBBA内の誰の目にも明らかだったのだが、男としてのプライドが許さないのか、公式にはどうしても認めたくないらしい。

(マ、そこもカワイイんだけどネ♪)

マックスはニヤニヤと笑みを浮かべながらレイを眺めた。

「……だいいち、オレ男だぞ?」

「エ?だってボクの国だと、バレンタインは男の人から女の人へプレゼントを渡す日なんだヨ?全ッ然問題ナイネ~♪」

「そ、それはそうだとしてもだな……」

「それにネ、レイ。相手がカイっていう事は否定しなかったヨ♪」

「うっ!!……そ……それ……は……」

レイは唇を噛みしめて、弱々しく頭を振った。つられて後ろ髪を束ねた尻尾がゆらゆらと左右に揺れる。

「それとも……ひょっとしてボクにもくれるのカナ?」

「そ、そう!別に、カ、カイだけっていう事じゃないぞ。ちゃんとマックスやタカオの分も……」

しどろもどろになりながらも何とか言い繕おうとするレイだったが、それが却って墓穴を掘り続けていることには気付かなかった。

「ホントに?」

「ああ!」

「じゃァ、どうするノ?あのチョコ買う?」

「……最初はそうしようかとは思ったんだけどな……あの中に入っていくのはちょっとなぁ……」

そう言ってレイが指さしたチョコレート売り場には、学校帰りの女子高生らしき集団が群がっている。

確かにその中にレイが入れば奇異の目か、もしくは好奇の目で見られてしまうのは容易に想像がついた。

「女装して買いに行けばいいじゃナイ?レイだと絶対バレないヨ~」

「却下だ」

それだけは嫌だ、とレイは即座に否定した。

「それに甘いモノが苦手だから、渡しても迷惑なだけかも知れないし」

「……ソウ?そんな事ナイと思うケド?」

「だから、何かいい方法が無いかなぁ……って……」

うーん、と唸るレイを横目に、マックスはお菓子の棚を眺めていた。

バレンタイン用に売られるラッピングされたものとは別に、手作り用の板チョコやレギュラーシーズン用のチョコレートも普段より多く並んでいる。その側には、チョコレートを使った料理のレシピがいくつか提示されていた。

パチン、とマックスの指が鳴った。

「イイ方法思いついたヨ~♪これなら大丈夫だと思うヨ」

「本当か?」

「ウン!そのかわりうまく行ったらこんどボクのオネガイ聞いてネ♪」

「ああ!」

「あのネ……」

マックスは爪先立ちになってレイに囁いた。

ややあって、こくり、とレイが深く頷いた。





*





帰宅してから荷物の片づけもそこそこに、レイはマックスに浴室へと連れて来られた。身体をキレイにする、とは聞いていたので、普段通りに身体を洗い、シャワーで泡を落としてゆく。

不意にマックスはレイの双臀に手を這わすと、臀丘の谷間を割り開いた。最奥の部分に、レイの蕾が可憐にのぞいていた。

「レイ~、中までちゃんとキレイにした?」

「な、中まで……?」

戸惑うレイに、マックスはシャワーを手に取ると、シャワーヘッドとホースとの結合部分を捻るように廻した。何度か廻してゆくうちに、ヘッドが外れ、ホースが剥き出しになる。

「可愛いネ~」

マックスはそっとレイの秘所に手を触れた。表面を指で突きながら、揉み扱くようにゆっくりと刺激を加えてゆく。

「あ、あ……なにを……」

いきなり触れてきた硬質な感覚に、レイは固く閉じていた両眼を開いた。うしろを振り返ったレイは、なにをされようとしているかを知って、上擦った声をあげた。

「ちゃんと中までキレイにしておかないとネ♪」

「い、いやだぁぁっ……」

レイの身悶えを嘲笑うかのように、ホースの先端がレイの秘所を突く。そして縫うようにゆっくりと沈めていった。

「ああッ……いやだッ……」

悲痛な声をあげてレイは身体を仰け反らせた。歯を噛みしばり、僅かに腰を震わせる。

「口ではイヤがってるケド、お尻の穴は嬉しそうにぴっちり咥えてるヨ?浣腸されるノ、うれしいんでショ」

「だっ、誰がそんなこと……」

蛇口を捻られ、シャァーと液体が流入してくる感覚に、レイは喉を絞った。内蔵のあらゆる所にまで満たされ、弄ばれる。

「あ、あぅ……もう……やめてくれ……」

汚辱感にレイは目の前が暗くなり、噛みしめた歯がガチガチ鳴りだしてとまらなくなった。しかし、どんなに堪えようと思っても、液体はジワジワとレイの直腸内を満たしてゆき、圧迫感をふくれあがらせる。

そして、マックスにそんな恥ずかしい箇所を見られていると思うと、いたたまれなかった。

「いやだ……あ、も、もう、入れるなっ……」

レイは黒髪を振りたくり、腰を揉んで咽び泣いた。後ろのマックスを振りかえりながら、何度も哀願を繰り返した。

「……もう……だめ……お願いだ……」

レイは呻き、のたうった。下腹部の圧迫感がふくれあがるのと共に、排泄感が全身を駈けまわる。

「い、いやだぁッ……もう……やめてくれ……」

レイはブルブルッと身震いして叫んだ。脂汗にまみれ息も絶え絶えになりながら、荒々しい排泄欲に今にも引き裂かれそうな秘所を必死に窄めているのがやっとだった。もう片時もじっとしていられない。レイの腰がひとりでに蠢いた。

「ううっ……も、もう……」

我慢ができないとばかり、レイは哀訴の眼をマックスに向けた。潤んだ艶やかな瞳を向けながら、唇を噛みしめワナワナと震えている。

ようやくマックスは蛇口を締め、レイの体内への注入を止めた。ハァハァと喘いではぐっと唇を噛んだ。

「ト、トイレに……」

身体を起こそうとして、ググッと腹部が鳴った。マックスにやんわりと制止される。

「モウ我慢できないノ?」

マックスはレイの哀願を無視して、じっとレイの四肢を眺め続けた。

ま、まさか、ここで……。

そう思うと悪寒が身体中を走り、レイの気が遠くなった。

「ちゃんと見ててあげるカラ、心配しなくていいヨ~♪」

マックスにとっては動物を解剖したり、時計を分解したりする感覚なのだろう。レイは今にも爆ぜそうな便意に抗おうと、必死に腰を捩りたててのたうち廻るが、おのずと臨界点が訪れる。

「い……いやだ……っ……で、出るっ……」

限界を悟り、レイはもう満足に声が出せなかった。目の前が真っ暗になり、何も考えられなくなる。

マックスはレイの体内に埋め込んだホースを勢いよく引き抜いた。猛烈な水流が出口を求めてかけ下る。幾ら押しとどめようとしても駄目だった。

「ああ……見るな……ッ……」

はじめはショボショボと漏れ始めていたが、ほんの一瞬、レイの秘所がすぼまる動きを見せたものの、やがて内からふくれあがるようにして、堰を切ったようにドッとほとばしらせる。

「ああぁッ……見ないでくれッ……」

悲痛な叫びとともにレイは黄金色に色付いた液体を垂れ流し続けた。

やがてうねうねとひり出されるのを食い入るように見つめながら、マックスがレイに言った。

「出てくるのがキレイになるまで、何度でもシテあげるからネ♪」





*





コンコン。

震える手でカイの部屋をノックする。

「カイ……いいか?」

返事は返ってこないものの、入室を拒否された訳では無いと判断し、片手でドアを開け中へと入った。

「……カイ」

椅子に腰掛けたまま、身動き一つせずに見詰められ、思わずレイの身体が震えた。手に持ったトレイを取り落としそうになる。

「あ、あの、その、チョコレートフォンデュを作ってみたんだが……食べてみてくれないか?」

「……お前は?」

カイの言っている意味が分からずに、レイが首を傾げた。

「……お前はもう食べたのか、と聞いている」

「あっ、あぁ。いや、まだだ。カイが帰ってきてから食べようと思ってたから」

「そうか。なら、丁度良いな」

ベッドサイドのテーブルにトレイが置かれるのと同時に、カイは両手をレイの身体に回し、後ろから抱きついた。

「カ、カイ……んんッ!」

そのままベッドに押し倒され、唇と唇の先が触れ合う。カイの舌が割れ目に沿って侵入し、レイの口腔内に唾液を塗してゆく。それに答えるようにレイの舌もカイのそれと絡みつく。

「ん……はぁ……」

溢れた唾液が口の端から零れ落ちて、衣服に丸い染みを作った。

やがて、どちらからということなく唇を離した。淫らな唾液の糸が唇の間を伝う。

「どうすればいいか、わかってるな」

「……あぁ」

レイは衣服を脱ぎ捨てると、股間が目の前にくるようなシックスナインの体勢でカイの身体に覆い被さった。

ズボンのファスナーを開き手を差し入れ、既に固くそそり立ったカイ自身を掴みだした。レイは何かに導かれるかのように自然と顔を埋め、カイの肉棒を口に含もうとしたところで、カイに制止された。

「折角用意して貰ったんだ。お前も食べたいだろう?」

カイはチョコレートの液体が入った器を手にすると、いきり勃つ自身にチョコを塗り込んでいった。人肌よりもやや熱いチョコレートの液体を指に掬い取ると、自らの肉茎の表面へ丹念に塗りつけてゆく。

暫くした後、カイの肉棒はバナナチョコレートのように茶色くコーティングされていた。

「……んぐッ」

「もっと奥まで咥えろ。舌も使え」

再びシックスナインの体勢にさせると、カイは口腔の奥まで支配するよう突き出しながら揺さぶった。吐きそうに喉を鳴らし、呻きながらもレイは舌を何度もカイ自身に這わせてゆく。

「バナナとくればイチゴだろうな」

一心にカイに奉仕するレイを尻目に、カイはフルーツが載った皿の上からイチゴを数個手に取ると、チョコレートの海の中へ投げ込んだ。何度か揺すりあげると、赤い粒の表面が茶色い液体でコーティングされてゆく。

そうして出来上がったうちの一粒を掴むと、レイの秘所の入り口へと当て、ゆっくりと差し挿れていった。

「んぐぁッ!?な、なにか……入ってくるッ……」

「何が、どこに入っているんだ?言ってみろ、レイ」

「あッ……う……」

異物が体内に挿入される何とも言えない快感に、身体を震わせながらレイが声を絞り出す。

「イ……イチゴが……オ、オレの……身体の中に……入ってきてるッ」

「半分正解だが『どこに入ってる』かが抜けている。ちゃんと言えるまで続けるぞ」

カイはもう一粒のイチゴを手に取り、割れ目の中へ押し込んだ。先に入れられていたイチゴとぶつかり、鈍い衝撃が下腹部に伝わる。

「うはァァッ!」

「ほら、何処に入ってるんだ?」

問いながら三個目を手に取り、潰してしまわないようにゆっくりとレイの体内へと押し込む。

「ッ……オ、オレの…………お尻の……穴」

やっとのことで搾り出した言葉をうけて、カイは四個目のイチゴを手に取り、同じように埋め込んでゆく。

「惜しいな。『オレのいやらしいケツの穴』だろう?」

「うぅッ……」

恥ずかしいことを言わなくてはならない羞恥に、レイは顔を左右に揺すった。

五個目の感触を下腹部に感じ、レイの身体が小刻みに震えた。

「オ、オレの…………いやらしい……ケツの穴にィッ」

「その通り。よく言えたご褒美にもう一個入れてやろう」

「そ、そんなッ……あぁっ」

既に体内に四粒のイチゴを飲み込んでいる淫孔は、さしたる抵抗もなく五粒目を飲み込んでゆく。ビリヤードのように粒同士が直腸内でぶつかり合う度に、鈍い刺激がレイを快楽へと導いた。

「ほら、口が遊んでいるぞ」

「はぁぁッ……んぐぅッ……」

チョコレートを舐め取るように、丹念に亀頭全体を舐め回され、カイの肉棒はより一層熱く硬くなってゆく。

鼻から小さな吐息を漏らしながら、レイは首を上下に揺すり始めた。口腔内の圧力を変えながら、舌で先端を擽り唾液ごとチョコレートを舐め取られる感触に、カイの呼吸が徐々に荒くなってゆく。

「くッ……レイ……出すぞ……」

低い呻き声をあげ、カイが達した。熱い迸りが喉を打ちつけ、レイの口へ幾度と無く大量の白濁液を迸らせる。

「ぐ……ぐふぅッ……んぐッ……」

レイはゴクリと音を立て、唾液と共にカイの精液を喉の奥へ流し込んだ。

「はぁ……はぁぁ……」

「そろそろイチゴを頂くとしよう」

カイは荒い息をつくレイの淫蕾を指で突いた。チョコレートで茶色く濁った中心を指で弄ばれ、レイが喘ぎ声をあげた。

「出すんだ、レイ」

「あ、あぁ……」

レイの顔が羞恥で歪んだ。カイは大きく口を開けて、レイがイチゴを産み出すのを待ち構えている。

これから恥ずかしい所を余すところなく見られてしまうという予感に、レイは顔を覆い、目を閉じた。

「だ……で……でるッ……」

蕾の周囲がぷっくりと盛り上がり、茶色の固形物が姿を現した。チョコレートに濡れそぼったイチゴが、ゆっくりとレイの体内から排泄されようとしている。

「いいぞ……」

カイはそう言うと、一回だけイチゴに舌を這わせた。思っても見なかった刺激に、レイからくぐもった声が溢れ、同時にイチゴが一粒排泄された。

カイは落ちてきたそれを口腔内で受け止めると、そのままレイの淫蕾に吸い付いた。

「ッはぁぁッ、あぁぁ……」

力を入れて止めようとしても、カイが吸い込む勢いを止めることはできず。

レイの秘所とカイの唇が密着したまま暫くせめぎあった後、やがてゆっくりと時間が動き出した。

レイの体内に収められたイチゴが、一つ、また一つと排泄され、カイの口腔へと勢いよく飛び込んでゆく。その度にレイの身体に電流が走るような快感が貫いてゆく。

「あ、あぁッ……あぁぁぁッ!」

そうして最後のイチゴがカイの口腔内へと吐き出され、胃の中へ収められてゆくのと同じくして、レイの肉茎が大きく震え、カイの胸元へと白い欲望を迸らせていった。





*







「貴様、レイに何を吹き込んだ!?」

「ボク知らないヨ~。ただレイが『チョコ渡したい』って言ってたからお手伝いしただけダヨ?問題ナイじゃナイ」

「惚けるのもいい加減にしろ!」

「トボケテなんかないヨ~。それにその様子だと無事渡せたんでショ?うまく行ったらボクにお礼してくれるってレイ約束してくれたしネ。何して貰おうカナ~」

「貴様ァァッ!!」



そんな2月15日。

アケボノ町は3月に向けた闘いへと突入してゆくのであった。




(終)

バレンタインものをちゃんとやった事って無かったんですが。
個人的感想ですがいろいろハードルありますわな(謎)
 
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