レイが再びおずおずと手を差し出しました。 カイは残る小銭をポケットから取り出し、レイの掌へと渡します。 さりげなく手を触るようにして。
両替機は店員が座るカウンターの脇にありました。その前に立ったカイがふとあたりを見渡すと、既に他の客は全員帰ってしまっていたようでした。 しかも二人が陣取る席は奥まった所にあるため、カウンターからは死角になっていて見つかることはまずありません。 思いがけず訪れた二人きりの時間に、カイは一人ほくそ笑みました。 | |||||||
両替から戻ってきたカイは椅子を移動させると、レイの隣に腰を下ろします。
とってつけたような理由だなと自分でも思いましたが、レイが何も言わなかったので、カイはそのまま座りながら画面を眺めていました。 | |||||||
しかし、カイが隣に座ってからというもの、レイの操る機体の動きは明らかにおかしくなりました。 カイに見られている事で緊張したのでしょうか。簡単なミスで機体を失うことが多くなり、硬貨の投入間隔が早くなってゆきます。 そして、遂に。
レイは残念そうに呟きました。 | |||||||
すると。
カイの腕がレイの首に廻されました。 | |||||||
そのままぐい、と抱き寄せられてしまいます。
| |||||||
抵抗する素振りを見せないレイに、カイの顔が至近距離まで近づいてきます。
睫毛が見える距離にまで近付きました。カイの吐息が顔に当たります。 |